花に関する日本の文化

胡蝶蘭の歴史
胡蝶蘭の原種は元々熱帯地域で生まれ、少ない水しか得られない環境でも生きていけるように進化した植物でした。
約200年前に荷物に偶然紛れ込んでいた蘭(カトレア)がイギリス人によって発見され、その人気はヨーロッパで蘭の大ブームが巻き起こり、専門のハンターを世界各地に派遣するほどでした。
そのころから栽培や品種改良が始まり、日本にやってきたのは明治時代で、華族が集まる社交場などで飾られていたそうです。
一方で当時の日本は現代より気温が低く、苗が枯れたり死んでしまったりと、繁殖の難しさから増産もできない状態だったため、高級な花として貴族に珍重されることとなります。
その結果、現在に至るまで胡蝶蘭は高級な花としてのイメージが定着することになりました。
お祝い事や法事の際など、人生の門出など大切な時に胡蝶蘭を贈る日本の文化に繋がったのだと推測します。
愛でる歴史
胡蝶蘭はその花の形や流通数の少なさによる希少性から、非常に高価で裕福な貴族などだけが観賞できる嗜好品でした。
日本に渡来した明治初期は栽培環境が整っておらず、苗からの栽培が非常に難しかったため、胡蝶蘭の存在すら知らない庶民達がいたそうです。
日本は室町時代から平安時代には花をお供えたり、生花を挿す習慣があったため、存在すら知らない点から考えても、その当時とても珍しい花だったことが分かります。
なお、明治時代末期になると寒さに弱い植物の栽培には不可欠な温室が普及しました。
胡蝶蘭の栽培農家数の増加や国内生産量が飛躍的に伸びた結果、一般市民でも手が届く価格まで安くなっていったのです。
花や草木に美しさを見出し愛でる文化がある日本だったからこそ、人は栽培をあきらめず、胡蝶蘭は今もプレゼントの候補に挙がるくらい人気なのかもしれません。